2011年5月2日月曜日

山の芽吹き


 4月末からいよいよ山のアトリエに行き今年の夏が始まる準備となりました。3月の地震による後片付けはいくつかのものが落ちたり壊れたりしただけでしたが、そのくらいで済んでほっとしました。それでも壁にある時計は地震の起きた時刻を指したまま傾いて止まっていたのが当時の地震の揺れを思い起こさせました。
かつての外国土産の花瓶は見事に割れていたのが悲しかったのですが、充分に楽しんだ後ですし、こんな被害ぐらいで済んだだけで良しと思わなければなりません。
ここ八ヶ岳の山々はまだまだ冬の様子で、芽吹きはかすかにしか始まっていません。今月のGWの終わる頃には落葉松も一斉に芽吹く事でしょう。ただ水仙だけは今を盛りと奇麗な黄色や白の花が凛と咲いています。それからダンコウバイの渋い黄色の莟が目立っています。
これからの日々が楽しみです。桜は富士桜と枝垂れ桜がそろそろ咲きそうで山桜は盛りです。
東京より半月は季節がずれているので山は花の咲くのも芽吹きも何もかもが一度に、そして一斉に始まるのは見事でいのちの輝きを見せてくれます。
朝と夕の犬の散歩も山では久しぶりで私も犬もうきうきとした気分で山道を歩き犬たちは土や草の匂いに興奮して草むらを転げ回ります。
私と犬たちとの至福の刻です。草も木も花も鳥も犬たちも、そして私も生きている、生きているという喜びに満ち溢れた散歩です。
散歩から帰れば、山の冷たい水で喉を潤し、5月の爽やかな日差しと木々を渡る風を受けて犬たちは思い思いにベランダでごろっと横たわり無防備な姿で寝ています。私も程よい疲れのなか、美味しい珈琲を飲んだりとゆっくりと刻の流れを感じて微睡んだりしてしまうのです。
今年の夏はどんな過ごし方になるのかな、などとぼんやり夢うつつで考えたりしています。小鳥たちの鳴き声が絶え間なく聴こえて来て音楽を奏でているようにも思えます。私の五月はこんな風に始まりました。