2013年12月29日日曜日

歳末風景


 間もなく今年も終わろうとしています。28日の御用納めも土曜だったせいでずいぶんと早くからお休みモードになった上に1月は日曜日が5日なのでとても長い休暇にどこもなるようです。ずいぶんと昔と様子が変わりました。大晦日まで仕事にかけずりまわっていた時代が嘘のように思えます。
  暮れの忙しさは淡々として来てお正月の華やかさも昔より静かです。何十年か前までは、大晦日の賑わいをテレビでは美容院で髪を結う人たちで大忙しの映像が流されていた気がします。結い上がった日本髪で初詣に行く人もありました。
  美容院は朝から目の回る忙しさでした。今は仕事始めにキモノで出勤もなく、お年始に親戚やお世話になっているところに改まって年始のご挨拶に行く人の姿もそう見かけなくなりました。
 どこの家庭も思い思いにのんびり過ごしたり、せいぜい親のところに行くくらいになっています。それらの風習が良い事か、昔のお正月の過ごし方が良かったのかは時代が変わったので何とも言えませんが、少なくとも新しい年を迎えて何か改まるということが極端に少なくなったのは事実です。
  全くの自然体で暮れを迎えてそのままお正月が来るという風です。昔から変わらないのは初詣や年賀状のやりとりぐらいでしょうか、お正月には晴れ着を着るという習慣も薄れて行くようです。
  歳末風景の慌ただしさ、賑やかさはめっきり目に入ってこないのはきっと商店街がさびしくなったせいかしらと思えます。 個人商店はどんどんと減る一方で大型のスーパーに取り込まれてしまうので路上に、人々が行き交いかいものをするという風景が見えて来なくなったのでとても静かに暮れは過ぎて行くのでしょう。

  それからこのくれにふと気が付いたのは大きな会社や銀行の前に立派な門松がなくなってしまったなと思う事です。大きなお屋敷や門構えの家の前ではこの時期には鳶の人たちが門松を作り上げて行くのが見られたもので、私はその作業に見とれて暮れの忙しいのに何だか人の家の門松なのに嬉しい気持でながめていたっけと思い出すのです。
 今思うととてもよい風景だったと思います。世の中が段々簡略になって雪ただ印刷された賀正の紙だけ貼るのは返って形式だけが重んじられて心をどこかに忘れてしまったように思えますがどうなのでしょう、子供時代に鳶の親方たちが門松をたてているのをみていると、お正月はもうじきだと感じさせ嬉しいような気分にさせて、わくわくさえもしました。歳末の行事一つ一つが全てお正月を迎えるためのものでした。

  おせちのセットが売られたり家族で海外に出かけたりする世の中になったのには今や普通の風景となりました。子供の頃三が日は外出はしないように、そうしないと一年中出歩いて落ち着かない娘になってしまうからと親に言われたのはなんだったのでしょうか、私はかなり長いこと言いつけを守り娘時代は三が日が済むまでは家に居てそれから外出したのです。お年始に見えるお客も必ずあったので家を空けることなど到底考えられなかったのです。
 その後、お正月は家中で旅行に行く時代になりその過ごし方もあるのだと思えるようになったのはかなり経っての事でした。でも今思えば家族が寄り添いゆっくりと過ごせた三日間も大事な事だったと思います。正月の過ごし方も様々となり、各家庭がそれぞれに過ごす世の中になったのは、自然なのでしょう。
  私なりに過ごす歳末やお正月であろうと、無理せずに行こうと考えています。元気で家族がお正月を迎えられるならばそれで充分と思っています。
 誰でもが良い年を迎えられることを願って今年最後のブログとします。来年もあらた工房をよろしくお願いします。