2014年4月22日火曜日

眩しい若葉



 4月上旬の桜に一喜一憂しているうちに、桜が散れば中旬の東京は再び寒さが戻り暖かなエイプリールシャワーとはゆかず。
 冬を思わせる氷雨に驚き、片づけようと思っていたコートをまた着なくてはと,気温の差に体調も崩しそうな日々が続きました。
 ここへ来てやっと4月らしい気温になり気が付けば、もう木々は若葉に溢れてその生命力に眩しささえ感じます。

 工房の庭の椎の木は古い葉をどっさりと落として、枝垂れ紅葉は紅い新芽を吹き椿もぽとぽとと咲きつつも落ちています。麗しい4月は初夏を迎える為の準備を着々としているようです。


 この4月にも多くの出会いがあり、知り合う人の数も増えて,私の年代になっても新しくお友達が増えるのはとてもうれしい事と思えます。世代を超えてのお付き合いはいつもフレキシブルな考えを私にもたらします。
 昨日まで知らなかった人と親しく言葉を交わしたりする事は、初めて見た花の名前を知ることと良く似ています。

 今日、お花屋さんでかわいらしいピンクの濃淡の紫陽花を見つけました。もうすぐ紫陽花の季節なのだと思い名前を聞けば「ダンスパーティー」という名前だと言う事です。
 どなたが考えたのか知りませんが、確かにそんな雰囲気の紫陽花でそのネーミングの安易さが楽しい笑いを誘いました。そして大好きな金魚草もいくつか鉢を求めて紫陽花に添えました。


 今、工房では3月に注文を頂いた蒲公英の綿毛の染め帯を何本か制作中です。急がないと綿毛がみんな飛んで行ってしまうので大急ぎで制作中です。
 綿毛は白いので柄にすると目立ちにくく帯の地色は爽やかなレモンイエローにしました。
 黄色の帯はなかなか無いのですが、私は渋い紬にはとてもよく合うと信じています。
イエローに、ほんの一滴の緑を垂らすとさわやかなレモンイエローになります。
その兼ね合いが難しいのですがまた楽しくもあります。
 の色に奮闘していた時に、何気なくテレビを見たら洋服の評論家のような方が、女優さんの春の装いを見ながら色々と説明していて「今年の流行りはレモンイエローです。ファッションの一部にこの色を取り入れるのが流行です。」と話しているではありませんか。

 私はおかしくなって、なんの理由もなく昨年の秋からこの色に自然に取り組んでいて今年になり完成したのにと何を今頃言っているんだろうかと思ったのでした。
 このような思いは過去に何回も経験しています。その時により緑だったり茶色だったりと色々ですがある一色が、どうしても気になり頭から離れずその色を追い求めている自分がいつもいます。
 そしてその色はやがて半年から2年ぐらいを経て急に注目されたりするのです。
 決して偉そうに言うのではないですが、時代がその色を求めるのだと感じ自分が色作りにかかわるものとして世間より少し早くにキャッチ出来るのかなと思います。

 着物は洋服ほど激しく変化をしないのですが大きなうねりはあります。
50年も色々な色を作り続けていると敏感にもなり、時代がどんな色を求めているのか直感というのか本能的に感じます。
 自然界の様々な色から啓示を受けて心の赴くままにこれからも自分の色を産み出して私らしい色に育てていきたいと思う暮春です。
 八重桜の花びらがどこからか散り,路地の端をピンクに染めて積もり葉桜の若緑がさやさやと風にそよいで4月も終わろうとしています。