2012年7月24日火曜日

猿之助さんの襲名披露公演


7月に入りまた猿之助さんの襲名披露公演に出向きました。6月に続き2回目で今回は団十郎,海老蔵も参加で賑やかに盛り上げていました。
夜の公演での「黒塚」を猿之助がどのように演じるかが楽しみでした。安達ヶ原の鬼女の舞台は幽玄に満ちた舞台で見事に演じていましたが、中腰のままで踊り続けるのはかなりハードではないかと思われます。
  出演の海老蔵はやや貫禄が出て来たようにも感じました。楼門五三の桐での石川五右衛門は華やかでこれぞ歌舞伎という世界です。

盛夏のためか着物姿は少なかったのですが中には綺麗に着こなしていられる方も見受けられました。着物姿には、粋筋の方が多いなと思われました。当夜の私は母の形見の着物です。しっかりした紗に古代紫地に秋草が一面に描かれていて,この着物は母が40代の頃、長唄のおさらい会などに着て良く出掛けたのを思い出します。
その頃家では大きなコリーを飼っていて母が面倒を見ていましたがこの着物といっしょにコリーと写っていた写真があります。
  まさに母にとっての所帯盛りの頃だったのでしょう。その着物は何十年経っても何ともならず未だに私は盛夏になると思い出して着ることにして母を忍びます。 着物に柄があるので帯が難しく自分が若いときから良く締める白の紗献上にしてなるべく暑苦しくならないようにすっきりとさせます。年を取れば取るほどに夏は着物がいいかと思います夏は体の線が良くみえてしまうので服だと余計年齢を感じさせてしまう気がすると思うのは私だけでしょうか。
  少なくても背筋が引っ張られて気持のうえでもしゃっきりします。あと1回7月晦日には落語に行くので着物を着ます。その日も晴れますように。

2012年7月12日木曜日

三津五郎さんを囲む会


爽やかそうな日が続くともう梅雨が明けるのかしらと思ったりもしますが、また南から大雨のニュースが入り今までに記録したこともない雨量だと報じているのを聞いたり,今にも氾濫しそうな川が映されているとなんて恐ろしいことだと身震いしてしまいます。
そんな中、パンダの赤ちゃんが亡くなったというニュースや小沢さんが新党を立ち上げたとか何とも忙しいニュースが続いています。

私は先日10日には三津五郎さんの芸歴50年を祝う会に行って参りました。幸い雨にも降られず着物が着られて会場では久しぶりにお会いした方を交えて楽しく歓談出来ました。さすがに着物姿が多くて夏の着物が沢山見られました。
 私もこの日はなかなか袖を通すチャンスがなく長いこと出番を待っていた絽の訪問着を着用しました。この着物は私が製作したのではなく、かなり昔に作られた着物を訳あって私が自分の寸法に仕立て直した物です。大変に珍しい柄で私自身が他の制作者の作品を着る事も滅多にないのですが、どうしても面白い絵柄だったので着てみる気になったのでした。

 帆掛け船が裾にあり、海の景色ですが上部は紫色の地に黒い線でまるで通り雨のように描かれています。その組み合わせ方が面白くやや粋な感じもして気になる絵柄だったのと、どんな意図で制作されたかに興味もあり、こんな大昔に作られた着物を自分が着ることでしかも役者さんの晴れの日に合わせて着たら着物が喜ぶだろうと思い切って着て見ることにしました。

私には仕事柄でしょうか、不思議ないわれのある着物が手元に集まることがあるのです。持ち主はとっくにあちらに行かれた方ですが、着物には想いが残ります。そんな私に託された着物が何点かあって自分用に仕立て直して、しつけがかかったままです。
そのような着物を観劇やお芝居に連れて行くつもりでこれから先も機会があれば着て行こうと思っています。そうすれば着物も楽しんでくれるのではと考えるのです。
お盆のせいでしょうか,着物の供養とかつての持ち主の方への供養と考えたりもするのが私がそんなことを考えても良い年齢に達してきたせいでしょうか。それともうひとつ会った事もない昔の制作者にはどんな想いで着物を染めたのであろうかと敬意を持つからです。
何時の時代にも着物の創り手と着手がいてこそ成り立っていると言うことを忘れないようにしていたいからでもあります。 着物の持つ普遍性を感じていたいし、信じていたい自分がいるからでもあります。
夏の夜の「三津五郎さんを囲む会」は賑やかで盛会でした。三津五郎さんは入院をしたことが一度もないとおっしゃっていましたが、これからも素晴らしい伝統の世界で活躍を続けて行けることを期待しています。

2012年7月2日月曜日

七夕に願いを寄せて


 水無月の終わりに水無月のお菓子を頂き、新しい月を迎えた7月1日は、工房で蜻蛉倶楽部(FACEBOOK)主催の「七夕の会〜お香にふれる〜」に参加し、それは楽しく充実した7月を迎える事が出来ました。

  時々、細く降る雨音を聞きながらお香に親しんだり、お煎茶を味わい美しいお菓子を愛でたりとゆっくりと過ごせた一日でした。
  設えには来年はもう少し工夫を加えたいと想ったり、7月の着物や帯のモチーフにはあれもある、これもあると新しいヒントが沸き上がって来たりもして来年への宿題も出来ました。
何でも新しい事に挑戦すると、また違ったアイデアが生まれてくるし、疑問も出て来るし、そうすればもっと何でも深く知りたいと調べ物もするから気持を停滞させるのが最もいけないとつくずく感じます。
  いくつになっても「何で?どうして?」と自分に問いかけて行く姿勢がポジティブな思考へと繋がるのは、これもまたアンチエイジングの方法のひとつなのだと勝手に解釈しています。
  一年の半分が丁度終わり月末には「水無月」のお菓子も頂いたから、きっとまたこれからの半年も元気に過ごせるに違いないと自分に暗示を掛けて7月が始まりました。
東京は今月がお盆です。この半年の忙しさで少しおろそかになっていたお寺さん行ききちんとしなくてはと、真夏に向かう前にこの辺で心を引き締めましょう。
  昨日、袖を通した私の明石の着物も、娘の小千谷縮も今日はしとりを取るため干していますが梅雨の晴れ間に時折吹く風を受けて揺らいでおります。着物の虫干し風景もまた日常の風物詩といえるでしょうか。