2012年11月26日月曜日

紅化粧大根


 山のアトリエもすっかり冬支度を済ませて,来年の4月の中頃までは冬の眠りにつくようにと色々片づけたり屋根に積もった落葉松の落ち葉を落としたりと、大忙しの連休でした。
 今年最後だからと犬たちも初冬の山の散歩に連れて行きましたが、犬の飲む水は朝には氷が張っていたり犬小屋の敷物は床に張り付いてぱりぱりと音を立てるほどの冷え込みでした。
 外飼いに慣れている犬たちもさすがに寒そうでした。水抜きや建物の周りの点検をすればこの夏にキツツキの開けた穴も何個か見つかり修理を頼んだり水道の元栓のバブルの劣化に気がついたりと、やる事が多くあります。

 当分来られないと村の温泉に心ゆくまで浸かり行く秋と来る冬の到来にあれこれと思いを巡らし、今年、心に引っかかった出来事は全部温泉のお湯に流して来ました。私にしては長湯でしたがおかげでぐっすりと眠る事が出来ました。

帰り道に野菜を求めて来ましたがその中に見事な色の大根がありました。紫色や,赤いラデッシュの色をした大根は見かけるのですが今回は朱色の大根にお目にかかりました。思わずその色の奇麗さに求めて帰りましたがさてどうやって調理しようか、サラダにするか、なますにして和風にするか、煮ては勿体ないと考え中です。
 緋色の大根なんて元気が出そうでなにやらうれしい気がします。自分の身につける色には赤は滅多に使いませんが身の周りに赤い色を置くのは大好きです。食器や小物、机など赤い色にこだわります。元気が出る気がします。
 緋色の大根は見ているだけで楽しいし縁起が良さそうです。名前は紅化粧大根と書かれていました。この元気そうな大根にあやかって残る11月を乗り切ろうと思っています。

 また昨晩には、お相撲で白鳳関が優勝して夜のテレビに出演していましたが、よく見るとなかなかのお洒落さんです。大島と見受けられる茶色系のアンサンブルに茶色の袴姿です。その袴は珍しく横段に柄が織られているのが眼を引きました。
 大抵は無地か仙台平のように袴は縦の縞ですから「おやっ」と思い白鳳はお洒落だな,誰かがコーデ考えてくれるのかしらと思いました。
 襦袢の衿も茶色で全部が統一されていました。お相撲さんの羽織の紐も特別長い別誂えなのでしょう。白い紐も印象的です。廻し姿ばかり毎日ながめているから私服である着物姿が新鮮で素敵でした。
 4場所ぶりの優勝とのことですから、おめでとうございます。
折からのフィギャアスケートの衣装も昨晩は楽しく見て、スポーツと衣装も切り離せないものと、つくづく思った夜でした。

2012年11月11日日曜日

錦秋競演


 いよいよ晩秋の山行きです。すでに山の標高の高い所では赤く色ずいた木々は終わりかけていて今は黄色く紅葉した木々が全山を黄金色に染めています。

青く青く何処までも澄み切った空とくっきりとした山々の稜線が眩しく雪を頂いた南アルプスが遠くに眺められます。

 秋の最後の日と思い八ヶ岳の周辺をドライブしてみました。すでに風も冷たくて、気温も10度を下回ります。アトリエではストーブも一日中付けっぱなしにして部屋を温めなくてはなりません。
 あと半月ほどで今年の山のアトリエも戸閉めしなくてはなりませんから、半年間の整理もあって来春にまた気持ちよく来れるようにとせっせとあちこち片付けます。お天気が良かったのでこの夏に犬たちが使ったタオルや敷物を洗って干したり短い秋の日と競争で大忙しです。冷蔵庫の整理も恒例です。

 10月に友人とどっさりと収穫したハナイグチは冷凍庫に沢山入れて保存しましたから秋の山の味覚を楽しもうと取り出してキノコ汁を作りました。冬眠する熊の気分です。
 若い頃は冬の山の美しさに惹かれてお正月も来ていましたが、やはり雪に閉じ込められると一歩も外に行けないのと車が出しにくい事もあり最近では無理はせずやはり冬は暖かい所に行こうかと思うようになりました。
 ダンコウバイの大きな黄色い葉が音も立てずに散り行く様はベランダから眺めていると刻の過ぎ行くのが遅く考えられます。落葉松の葉が一面に重なり地表は落ち葉の布団を敷いた様です。歩けばかしゃかしゃと落ち葉を踏みしだく自分の足音だけが静寂な山に響きます。
 またこの冬も鹿が山から下りて庭先の木々の樹皮を食べに来るでしょうか、餌を求める動物の厳しさを思うときなぜか少しだけ胸が締め付けられるような思いになります。先月の終わりに散歩中に私の目の前を大変な早さで横切り、森に消えた鹿がいましたが、今頃はどこに行っているのでしょう。鹿たちは厳しい冬の間どのように身を守り暮らすのだろうかとあれこれと考えてしまいました。
 ぬくぬくと暖かい家の中で温かなキノコ汁等を楽しんでテレビでスケートを見て、のうのうとしている私はやはり人間だと当たり前な事を考えてしまうのです。
 山で暮らす動物たちの強さには及びもしませんが強靭な逞しさにはほんのちょっぴりあやかりたいとも思います。こうしている間にも山の秋は刻々と初冬に向かって行くのでした。

2012年11月4日日曜日

「瑠璃の会」はハープとチェロの調べに乗せて


 11月3日は、おだやかな晩秋の都心で文化の日には久しぶりに着物で遊ぶ「瑠璃の会」が菊池寛実記念智美術館にて開催されました。2年ぶりの開催となりました。

今回はハープとチェロによる二重奏を中心に、前後に演奏をはさみフレンチのお食事会を楽しんだ後、美術館で色鍋島の鑑賞を含めて文化の日には相応しい日となりました。
 総勢で42人の着物姿で集まり優雅な秋の半日を過ごしました。
 珍しいチェロとハープによる演奏の企画は、かねてからの希望でしたから実現出来てうれしい思いです。
 今までハープの演奏をこんなに近くで聴く事もなかったので楽器にも興味津々でした。
 奏でられた二重唱の調べには癒されてガラス越しに秋の日差しが移ろう時間もまた穏やかで美しいものでした。

 ホテルオークラの側にある菊池寛実記念智美術館は都心とは思えない静かなたたずまいで現代陶器を紹介する美術館であり、館内にあるフレンチレストランの「ヴォワ・ラクテ」はとても落ち着いたレストランでガラス張りの店内からは緑の美しい庭園が見えて明るく素敵です。
 美術館の館内も、すばらしい展示方法と洗練されたデザインの美術館で私には訪れる度に螺旋階段の手作りのガラスの手すりに心惹かれます。

 折からの展示は近代の色鍋島十三代と十四代の今泉今右衛門の粋を集めての会でした。学芸員さんの説明を受けながら色鍋島の粋を堪能しました。
 全員が着物姿で集う事が会のコンセプトでありましたから、また我々の会も日本の文化を継承して行くものだと自負しており、なかなか企画が難しい事もありますが今後も会の方針をぶれずに行こうと思いを強くしました。ご参加の皆様には本当に感謝しています。

 「瑠璃の会」も昭和が終わろうとしていた頃よりスタートした会でしたから、かれこれ30年近くは続いているのです。
 着物を着る方が減らないように、着物を着て楽しめる大人の社交の場が少なくなりませんようにと願いつつ、また来年も皆様に喜ばれるような会にしようと今からすでに準備に入っています。