2012年4月30日月曜日

紫のサイネリア


 GWの間は何とかお天気が持ちそうな気配です。長く留守をするので草花にはたっぷりとお水を上げなくてはなりません、花がらを取ったりして手入れをすると花も応えてくれて次々に美しい花を咲かせてくれます。

 三月に求めた大きな鉢のサイネリアは未だに良く咲いてくれます。
手に入れたのは鮮やかな青紫色で中心は白いのでなおさら紫が鮮やかにみえます。
このサイネリアは園芸品種でも新しい花だそうですが。庭先にある縁側のスペースに置くとサッシ越しにもよく見えて、その前を通る度に癒されます。
鉢ごと瀬戸の大きな瓶に入れてありますがこの瓶は母がお嫁入りに来る時に実家から漬け物用にと持たされた物でかなり古く間違いなく百年以上は時代を経ているに違いありません。青磁色でなんの花にも合いますのでとても気に入っています。
 こんな何気ない物でも百年も経てば自ずと味が出て来るから不思議です。
家の中を見回すとそんなものがちらほらとあります。骨董的な価値はないかも知れませんが空気のような存在である花瓶や飾りものや額などは語らずとも密かに息づいて私たちの生活の中に溶け込んであります。

 今日で四月もおわりです。でももう風は五月のそよぎを感じます。
サイネリアの紫色は考えると助六の鉢巻きの色に似ています。江戸紫に近い色で日本人によく似合う色です。紫には様々な色があり奥深い色です。紫色の卒業式の袴もきりっとして良い感じです。紫の鉢巻きは病を表すのだとも聞いています。
それにしても自然界が創る色は何て素晴らしいのでしょうか。いつも教えられます。
 色の配合をする女神でもいて、楽しげに花の色を作り出しているのでしょうか。そう思うと嬉しい気分になります。初夏の爽やかな風が渡ると楽しい空想がいっそう膨らみます。

2012年4月25日水曜日

ムカシアルバム



 すっかり初夏らしい陽気となりました。

 日ごとに新芽が伸びて欅もモミジもカナメモチの垣根もぐんぐんと若葉を広げています。
春の会も無事に終わり少し一息を着いた頃、四国の方からムカシアルバムに使えそうな写真が手元にあるからどうですかとのメールを頂きました。今まで口コミで集めていたりしていましたが今回のようにお目にかかった事のない方からのご連絡はありがたいです。
大正5年11月頃 家族の肖像
 早速に送られて来た古い写真はムカシアルバムの中に取り込みましてまたページが増えました。地味な活動ですが保存活動を続けて古い写真が捨てられないことを願っております。ご協力ありがとうございました。



 四月の陽光を浴びて3月に門扉の植え込みに植えた勿忘草が生き生きと目一杯花を咲かせてくれています。大好きな青い花です。山では種がこぼれて翌年も咲くことがありますが東京ではなかなか増えてはくれません。
いつも4月の碧い空を映すかのように可憐に咲く花です。
ずっとずっと昔、私の若い頃に勿忘草というドイツ映画がありました。
いつもこの花を見る度にその映画の甘く切ないストーリーを思い出します。
そして主題歌として歌われていた「勿忘草」のメロディも素敵で、ますます好きになりすっかり私の愛唱歌となりました。 

 それ故に勿忘草は青春時代のちょっと甘酸っぱい思い出の花として心に残り毎年春には咲かせて楽しむようになりました。
ずいぶん前にどうしても勿忘草の花の帯を創って欲しいと言われて、四月の空の色を背景にしてお太鼓いっぱいに勿忘草を描いたことがありますが、思いのたけを込めて描いたのでもう2度と同じには描けないでしょう。

 マザーツリーという言葉があるならば勿忘草は私にとってはマザーフラワーと言うところでしょうか。ちなみに私のマザーツリーは山法師とフラミンゴの木です。これらの木々も今頃山のアトリエで芽吹き始めている事でしょう。

2012年4月17日火曜日

八重桜満開


 すっかり葉桜になり黄緑色の小さな葉が枝の間に見え始めている桜木は今、花がらを沢山落としています。
ソメイヨシノが散りだした今は八重桜が満開です。枝垂れ桜もまだ見られます。近所にある
ピンク色の濃い八重桜は花がいっぱい付いていて枝先で重そうに揺れています。
 ニュースでは大阪造幣局の桜の通り抜けが始まったと伝えていて、毎年このニュースを見ると私も一度は見に行きたいと思うのですがどうしても実現出来ないでいます。
画面で見ると全て八重桜でやはり何種類もあるようです。中には手鞠のように丸く沢山の花が付いているのもあり、八重桜は同じ桜といっても可愛く愛くるしい少女のような風情がします。
そして暮春の暖かさのなか咲き誇っています。緑の芽吹きのその前に行く春をたっぷりと楽しませてくれています。
 折から塀の上の枝垂れモミジがこの2,3日芽吹き始め小さな葉を赤く染めています。最近この枝垂れモミジを別名「手向け山」と言われることを知ったので今年はこのモミジが赤く枝垂れる様がとても楽しみです。なんて優雅な名前でしょうか、


 展示会中は着物姿も多くてやはり良い季節の中、着て歩くと浮き浮きするような気分の日々です。私も久しぶりに着物を着る日が多くなっています。春はやっぱり特別です。ぽったりぽったりと咲く八重桜が散る頃には新緑が眩しくなりゴールデンウイークに間もなく突入します。
まだ朝夕の寒暖の差が結構あるのでうっかりすると風邪を引きそうになりますので気をつけなければならないと身を引き締めています。

 春の会も終盤に近づいてきました。終わるまではいらして下さる方々と着物の話に花咲く日々を楽しみたいと思っています。
三月の末に植えた玄関先の勿忘草もすっかり伸びて水色の小さな花を精一杯咲かせてくれているのが健気です。どんな花々も私を嬉しい気持にさせてくれます。

2012年4月8日日曜日

花に浮かれて


 風が吹くと静かに散るぐらいの桜で、まだそれほど散るでもなく満開に近い状態で咲き誇る桜木はこの2、3日が最も見頃です。近所の方々がお花見をして賑やかに花に浮かれて楽しんでいる声が隣の公園から聞こえて来ました。

 工房のある二階の窓から見ていると必ず道行く人が公園の前で足を止めて桜を仰ぎ見ています。いつもは気にも留めないであろう公園もこの時ばかりは注目のまとになっているのが良く分かります。
 そして見上げる人は二言三言なにかしらつぶやいている様子です。綺麗だわと言っているのか、こんな所に桜の木があったんだと言っているのかわかりませんが何かしらつぶやいています。こんな様子を二階から見ているのは楽しいです。

 折から春の会の真っ最中で連日のお客様で賑わう工房です。かつて創った桜の帯や着物を身につけて訪れる方がいらっしゃると本当に嬉しいです。まるで里帰りしてして来た娘を迎えるような母親の気持ちになります。

 色々な表情を見せてくれる桜の様子を時に誇らしく描き、時にはかなく思ったり、または妖しい美しさに惹かれたりとその時々の自分の気持ちを投影させて、いくつもの桜の着物や帯を染めてきたものと思わずにいられませんが、まだまだ描きたい桜の景色は心の中にあります。これからも追い続けて行くつもりです。

 日曜日には毎年東京の桜を見に札幌から4月に上京する友人を交えてお花見の宴となりました。久しぶりの再会に喜び楽しいひとときを持てました。
皆が元気で桜を愛でる事が出来るのはなんて幸せなことだろうとつくづく思います。歳を経るごとにその思いはありがたいものと感じています。

ふっと垂れ桜もいいなと思い植えてみたいと家人に言うと大きくなったらどうするのと反対されました。なんて欲張りな私でしょう。大きな桜の木を工房の背景にしていながら、まだ桜が欲しいなんてと自分でも思いましたが今は枝垂れる木に凝っています。
 枝垂れる桃の花、枝垂れるモミジと並んでいるのにその隣に枝垂れ桜を植えるスペースはないかなと性懲りもなく探す自分がいます。
 うららかな春の満開の桜にいささかのお酒が入りきっと酔ったに違いありません。


2012年4月5日木曜日

桜満開のお知らせ


工房スタッフ そめとらです。

今年は、遅い桜の開花となりましたが、工房隣の桜がついに見頃を迎えました。



春の嵐がやや心配でしたが、蕾も落ちず無事に咲いてくれました。



空いっぱいの桜。年を重ねるごとに心に響きます。



工房では引き続き新作展示会「春のあらた会」を開催中です。





工房の垣根に、しだれ桃、椿も咲き始めました。しばらくは楽しめそうです。

お花見がてらぜひお気軽にお立ち寄り下さい。









2012年4月2日月曜日

蕾はピンクに


 うららかな春です。工房の隣の公園の桜は全ての蕾がピンク色に染まり時間を追う毎に蕾が膨らんで
すでに枝先ではいくつかは開花を始めていて、待ちに待った本当の春が訪れたと思わせる良い季節となりました。

 小鳥のさえずりも絶え間無く聞こえ、花の蜜を探しているようです。花が咲くととてもうれしくて、華やかな気持になる反面なぜか悲しいこともふっと想い出すのは桜を眺めて愛でる心の裏側にいつも潜んでいる気持だと思うのです。いつか一緒に桜を愛でた人々のことが、、、共に見上げて交わした会話などが想い出されて来るからでしょう。
 もう二度と会うことが叶わない家族や友人たちが桜の時期にはしきりとまぶたの裏に浮かび上がります。
私の場合はいっしょに散歩した犬まで思い出すのです。はらはらと散る花吹雪の下で見上げている犬の濡れた黒い鼻にも花びらがぴったりと張り付いて可笑しかったこともありました。

 桜は華やかででうれしくて悲しい不思議な花です。来年にこの花を見る自分はどうなっているのだろうかと考えてしまいます。
 まぁ無事に今年の春を迎えられたからいいとしようかと、来年の事まであれこれと考えるのは止めにしようと、今この瞬間を一生懸命に生きれば良いとしなくてはと、先ほども地震があったのだし、先の事は予測して生きては行けない、なにがあってもおかしくない時代なんだからとこの一年でつくずく思わせられたのです。
 自然から学習させられた気もしました。わずか何十年かの自分の経験なんて、なんの役にも立たないことも多い時代になっているなと思う事も最近ではしばしばあります。

 春の展示会にいらして下さったHさんにお庭の椿の枝を頂きました。黒詫び助という名の黒臙脂色の椿が珍しくて、始めて見たので感激しました。
椿は挿し木でも根が付くかも知れないと言われたので花が終わったら試してみようかと楽しみが出来ました。
 花が咲きそろう今、春の展示会も花の咲くのに連れてだんだんと進んで参ります。久しぶりの方々にもお目にかかれます。やっと落ち着いて仕事に取り組む日々が訪れて来た樣であります。
今日はあまり小鳥が囀るので椎の木に掛けた餌に林檎を切って載せようか思ったりしている春爛漫の暖かな午後です。