2012年5月28日月曜日

工房リニューアル記念演奏会


五月晴れも最後の日曜日に親しい友人たちを招いて賑やかに楽しく工房リニューアルの記念演奏会を内々で催しました。



 あまり聴く事のない邦楽のなかでも端唄、俗曲、小唄、民謡が楽しく唄われて大いに盛り上がりました。友人からの差し入れも沢山届きありがたい限りでした。
工房リニューアルでまた着物の制作意欲も湧いていますが、何よりも元気な方々に囲まれて幸せな限りでした。
美味しい食事と音楽を楽しめる事は元気な証拠。そして仕事に意欲を持てることはどんなに自分だけて頑張っても出来る事ではなく、周りの方の支えで、どれほどお世話になっているかを思った日でもありました。

今回、協力して頂いた記念演奏は学生時代より親交のある邦楽の師匠である豊藤嘉さんとそのお弟子さんの豊藤嘉見さんです。NHKや「題名のない音楽会」など民放各局、プレスクラブなどでも活躍されている演奏家さんです。
木遣りくづしに始まり、どどいつの飛び入りもあり、また福島復興を願っての新相馬節、山梨のアトリエに因んで武田節が朗々と唄われ、最後にラテンのリズムでコーヒールンバで、やんやの喝采のなかで演奏は終わりました。持つべきは友人で有り難かったです。

演奏後は無礼講で大いに吞んで食べて五月の夕暮れまで工房は賑やかでした。この月末が終わればいよいよ衣替えの六月ですから夏の着物も素敵にこの場所に飾らなくてはなりません。

この頃は夏特有の着物や帯を中心に展示して展開する所も少なくなりました。浴衣は単にゆかたであってそれ以外の物ではないので私はあくまでもよそゆきとしての夏の着物に力を注ごうと思っています。
昨日の景気付けの歌や三味線に押されてこのままこの夏をサーフィンに乗るかのように進んで行こうと思っています。波間に落ちて沈まないように頑張ります。この夏も皆様の応援をよろしくお願いします。


2012年5月21日月曜日

源氏香之記そして金環日食



 穏やかな5月の陽光が降り注ぐ20日、誘われてお香の会に行きました。
恥ずかしながらこの年齢になるまで香道に触れる機会がなかったので娘と同世代のF子さんに誘われると、これは良い機会と参加してみることになりました。


 今まで源氏香の図柄は何度もそのデザインからヒントを得て柄として創ってきましたが大本である源氏香が香道の中でどのように扱われるのかあやふやの知識だったのが今回参加させて頂いて大体分かりました。
香道は何とも雅で精神性が高い遊びであることも理解出来ました。5種類のお香が順に回ってきて香りを感じて同じ香りをその中で当てるわけですが時間を置きながらその都度記奥に留めるのはとても難しい体験に思えました。一定の時間内でそれぞれの香りを覚えるのはどんな感覚を手がかりにしたら良いのかと迷いましたが、何とか無事に終了致しました。
 お茶を頂きながら香道の成り立ちや歴史を教えて頂き奥の深い事だと知りました。感覚を研ぎ澄まさないと全く分からなくなるのではないかと感じました。


 たった1回の経験では何とも言えませんが誠に渋く味わいのある道だと思います。お茶の世界にも和歌の世界にも通じるものがあり、まだまだ人生の修行が必要で昔の貴族の遊びとは言え、かなり高度な精神性も求められるし香道もずいぶんとクリエイトな遊びなのだと感じ入りました。まだまだ勉強しなくてははならない世界が私にはどっさりとありそうです。
  この日は何度も美味しいお茶をご接待頂いたせいか五感をフル稼働させたせいか、なかなか寝付けずに気がついたら金環日食の朝を迎えてしまい、またまた珍しい日食の様子を眼にして天体の不思議も垣間見ました。そして昼にはうつらうつらとしてしまうのでした。私には盛りだくさんな24時間でありました。

2012年5月14日月曜日

薔薇が咲いた


五月も後半に入ろうとしています。五月晴れが続き風も爽やかで気持ち良い日々です。玄関脇にあるミニバラが真っ赤な花をいくつも咲かせてくれています。

冬の間枯れたような細い枝でしたが春の終わり頃からはぐんぐんと葉が出て来て茂り、蕾をいくつも付け始めて先週から次々と咲いています。大輪ではないのですが真紅のバラは少女のように可愛い感じです。
ずっと昔、母の晩年にカーネーションの代わりに好きな赤い鉢植えのミニバラをプレゼントしたのですが母亡き後は地植えにしていたのがちゃんと根付き、未だに5月に花を見せてくれます。すでに10年以上も経っているのには驚きで、たいした手入れもしないのに強い物だと感心します。昨日は母の日だったせいで花屋さんには多くのカーネーションの鉢が並んでいましたので母を懐かしく想い出しました。

そろそろ夏の会の準備をはじめなくてはなりません.自分の箪笥の整理をすると思いの他単衣や夏物の着物が多いので収納に頭を悩ませます。単衣を着るのは年々に早くなっていきます。それだけ夏の気温が続く日が多くなっていることなのでしょう。なるべく前倒しに単衣や薄物は着て行っても良いのではと考えます。
洋服もクールビズとかで年毎に早めに着るようになっているようです。折からの節電が叫ばれている昨今ですから、余計に涼しさを求める気持が強くなるのは当然な事でしょう。

涼しげにそしてきりっとお洒落に見える着物創りに励まなくてはなりません。
描きたい素材やモチーフはまだまだあります。この夏にはまた色々な題材に出会えるようにあちらこちらと出掛けて行こうと思っています。夏の間に見たい花がいっぱいあります。

赤い薔薇に水やりをすると花の間に母の笑顔が浮かんで見えたのは気のせいでしょうか、赤い花が大好きな人でした。

2012年5月7日月曜日

早蕨摘み


 今年のゴールデンウイークはしっかりと休暇を取りゆっくりと過ごすことが出来ました。
春の来るのが全国的に遅かったせいもあり今年になり始めて行くことの出来た八ヶ岳のアトリエの周辺はまだまだやっと春という景色が広がっていました。
山椒の新芽はわずかに緑が見える程度でしたが水仙は盛りでした。
丁度富士桜が満開で、可憐な花が下向き加減に楚々と咲いているのが可愛らしく山の桜は今がたけなわでした。
村の方に下ると春の陽光を浴びた芝桜が溢れるように咲き庭先の鯉のぼりが悠々と泳ぎ田畑にはもう水が張られて田植えを待つばかりでした。

 友人たちが遊びに訪れて楽しく過ごし、久しぶりの犬たちとの散歩では、一回り大きくなり力も強くなった雄の犬に引っ張られて連日のアップダウンの山道の散歩にふくらはぎも痛くなるという冬の間の運動不足を思い知らされるのでした。

 落葉松の新芽が出始めて毎年その清らかな緑に心が弾みます。
そして今年ほど蕨を採った年もありませんでした。まだ出始めですから早蕨は柔らかく採ってすぐにアクを抜けばその春の恵みに感謝するばかりです。毎食のように蕨が食卓に上り、大いに山の春を味わいました。
 長者蕗と言うらしいですが、太くて大きな蕗も美味しく、またタケノコも味わい五月の食卓は何て楽しいことでしょうか。山の幸の恵みとはこういうことを指すのでしょう。
藤ピンクのミツバツツジ、やっと出て来た蒲公英の黄色、赤い新芽のモミジや楓、何もかもが春と初夏を同時に謳歌しています。

 早蕨というのは襲の色では表が紫で裏が青という色を指します。
沸騰したお湯に重曹を入れて蕨のアクを抜くと濃い青がかった緑色になります。
この様子から襲の色が決まり春の色となったのでしょう。自然が生み出した色彩は季節感を表し配色をも教えてくれます。
散歩の途中には山の菫が目について少し鉢に入れて東京に持ち帰りました。しばらくの間眺めていようと思います。