2012年5月7日月曜日

早蕨摘み


 今年のゴールデンウイークはしっかりと休暇を取りゆっくりと過ごすことが出来ました。
春の来るのが全国的に遅かったせいもあり今年になり始めて行くことの出来た八ヶ岳のアトリエの周辺はまだまだやっと春という景色が広がっていました。
山椒の新芽はわずかに緑が見える程度でしたが水仙は盛りでした。
丁度富士桜が満開で、可憐な花が下向き加減に楚々と咲いているのが可愛らしく山の桜は今がたけなわでした。
村の方に下ると春の陽光を浴びた芝桜が溢れるように咲き庭先の鯉のぼりが悠々と泳ぎ田畑にはもう水が張られて田植えを待つばかりでした。

 友人たちが遊びに訪れて楽しく過ごし、久しぶりの犬たちとの散歩では、一回り大きくなり力も強くなった雄の犬に引っ張られて連日のアップダウンの山道の散歩にふくらはぎも痛くなるという冬の間の運動不足を思い知らされるのでした。

 落葉松の新芽が出始めて毎年その清らかな緑に心が弾みます。
そして今年ほど蕨を採った年もありませんでした。まだ出始めですから早蕨は柔らかく採ってすぐにアクを抜けばその春の恵みに感謝するばかりです。毎食のように蕨が食卓に上り、大いに山の春を味わいました。
 長者蕗と言うらしいですが、太くて大きな蕗も美味しく、またタケノコも味わい五月の食卓は何て楽しいことでしょうか。山の幸の恵みとはこういうことを指すのでしょう。
藤ピンクのミツバツツジ、やっと出て来た蒲公英の黄色、赤い新芽のモミジや楓、何もかもが春と初夏を同時に謳歌しています。

 早蕨というのは襲の色では表が紫で裏が青という色を指します。
沸騰したお湯に重曹を入れて蕨のアクを抜くと濃い青がかった緑色になります。
この様子から襲の色が決まり春の色となったのでしょう。自然が生み出した色彩は季節感を表し配色をも教えてくれます。
散歩の途中には山の菫が目について少し鉢に入れて東京に持ち帰りました。しばらくの間眺めていようと思います。