2015年10月6日火曜日

林檎に想う



10月の天気も穏やかに始まり、ぐんぐん急速に秋めいているようです。

9月の終わりには新米もどさっと届きサンマの大売り出し、葡萄はもちろん柿や林檎が店頭に山積みにされています。

 私も早速林檎を買って食べましたが、林檎を食べるともう初冬のような気分にもなります。林檎は秋から冬にかけて店頭に並ぶので目に付くのですが、私は林檎の形は大好きで色も香りも良いのですが林檎だけは加工してある方がもっと好きです。

 特にアップルパイが好物なのであちらこちらのアップルパイを食べています。林檎の種類もたくさんあってそれぞれ違いますし色も黄緑から濃い赤まで品種によって様ざまです。
 以前に北海道から送られてきた林檎はこれ以上ないと言うくらいの濃い赤で、黒に近いくらいで驚いたことがありました。
 その色は作り物のようで白雪姫に出てくる毒りんごは絵にするとこんな感じかと思わせました。もちろん美味しくて皮の中側の白い実の方までうっすらと紅く染まっているほどでした。あれ以来あの林檎は手に入りません。つまり林檎は私にとって少しだけメルヘンで絵にしたくなる果物です。

日本で売られている林檎は形も良くてぴかぴかですが今から40年くらい前にまだロシアがソビエト連邦と呼ばれていた頃にモスクワに行ったのですが、そこで見た林檎の街路樹が印象的でした。
 そして一流レストランでテーブルに積み上げられていた林檎は全く不揃いで虫も食っていたみたいでしたのが印象的でした。
 でもモスクワの林檎の街路樹は素敵でした。今でもそのままかしらと思い出します。
 
 林檎を題材にした着物や帯は古典とは違いポップな感じですが甘酸っぱい思い出と香りを思って描きます。
 そして私の大好きな林檎を題材にした有名な短歌があります。
 それは北原白秋の「君かえる朝の鋪石さくさくと雪よ林檎の香のごとく降れ」という歌は林檎の香のさわやかさを雪にも被せて「君かえる」という、事実を浄化させている巧みな歌で私の好きな歌の一首でもあります。

 そんなこんなの私の林檎に対する思いを着物に描いた作品を、今週、きものサローネのイベント「きもの100体スタイリズム」に出品します。10月8日、9日、10日の3日間です。
東京メトロ三越前の地下コンコース、江戸桜通り地下歩道(日本橋案内所前)で見ることが出来ます。(東京メトロ三越前駅に直結し、コレド室町1・2・3を結ぶ地下通路です)通りかかったら見て下さい。