2013年4月25日木曜日

歌舞伎座こけら落とし第二部を観て



 新歌舞伎座で4月に再び一部に続き第二部を観る事になりました。一部の時は最前列だったので他の客席は眺めることは出来なかったのですが、今回はほぼ真ん中の列ぐらいの中央での席だったので客席や花道、左右の桟敷席も良く眺められました。


やはり椅子の前の空間が広くなったのは嬉しい。以前は席を立つとき苦しいし、他の席の人に悪いので遠慮がちだったのが難なく動けてそれだけは楽です。


  二部では「弁天娘女男白波」は菊五郎さんの安定した弁天小僧が良かったけれど、私には「忍夜恋曲者」の玉三郎さんが印象的でした。
 人間国宝になられた玉三郎さんはずいぶん若い時から観ていますが相変わらず綺麗で優美な姿は素晴らしいです。
滝夜叉姫を演ずる衣装は三つ重ねのたっぷりとした衣装でその髪型も重そうでよくもあれほど動けるものと感心します。
 そして大がかりな舞台装置は新装なった歌舞伎座の大道具の醍醐味を見せてくれます。きっと最新の装置が使われているのだと思わせます。何でも奈落は四倍ほどの深さになったと聞きましたが舞台裏も見てみたくなります。

 以前、楽屋見舞いに三津五郎さんの楽屋を訪れた時にはずいぶんと道が狭くて出番を待つ役者さんが行き交うのも大変なのだと記憶しています。そのあたりも改善されているのでしょう。
 客席から見える舞台だけではなく舞台の裏側に興味が湧きます。今回のこけら落としはひとりでも観客を動員したいという松竹さんのお考えであることは分かりますが、三部構成というのは何か忙しない感じがします。この構成は何時まで続くのでしょうか。
 私はやはり二部の構成の方がゆっくり出来て今までの方が好きです。芝居見物はゆっくりと楽しみたく思います。休憩時間がせかせかと短いのはかえって落ち着きません。今後の運営はどうなるのか気になるところです。

 五月は休みが多くてなかなか芝居を見に行かれませんがまた六月には海老蔵さんを観に来たいと思っています。もう幾日かで五月になりますが、しばらくは目を戸外に向けて新緑を楽しむ事に致します。

2013年4月12日金曜日

諸葛菜と草の王



 すっかり葉桜になり緑が芽吹き、葉や草の勢いが感じられる気候です。
はこべも庭の片隅で元気にやわやわとした葉を盛んに伸ばしています。はこべを見ると少女のころ家で飼っていた鶏の餌にはこべを摘んできては刻んで他の餌と混ぜてやる役目だった自分の事を思い出すのです。いかにも柔らかくて、食料の無い戦時中はこんな草も食べていたのではと思います。

 雑草と一口にいってしまいそうな草は確かに逞しく突然に降って湧いたようにある日沢山に増えてその花が咲くときにやっとその存在に気づかされるのです。我が家の小さなスペースの庭と呼ぶほどでもないのですが大きな2本の椎の老木の下には様々な雑草がはびこります。今年の春に目立つのは紫大根と呼ばれる諸葛菜と草の王の黄色い花で同時に椎の根元で競演していることです。
 絶対に花屋さんでは売っていない花々を居ながらにして眺められ楽しめるのは案外贅沢ことかも知れません。


紫大根の花は素敵な名前である諸葛菜という別名を持ちます。その昔三国志に出て来る諸葛孔明が荒れた戦地にこの花の種を蒔いていったといういわれがありますが元々中国から渡って来た植物なのでしょうか。薄紫の柔らかい花は明るい緑の葉に映えて春らしい景色となります。


 そして黄色い4弁の花びらを持つ草の王はこれまた立派な名で何故かと思えば薬草として実際に使われたそうで尾崎紅葉が癌の治療薬として用いたと言われているそうです。毒を消す効能があるとのことですがそれで草の王というのでしょうか。

 都会の真ん中で見られる雑草の類に入るようなこの花々は今となっては貴重なのかもと思うのですが、では一体どこから運ばれて来たのでしょうか、不思議です。椎の木に囀る野鳥が落としていったのかもしれないと今日も高い梢で盛んに囀る鳥たちの姿を目で追って見るのです。緑の葉はエイプリルシャワーを浴びる度にぐんぐんと成長をしてやがて初夏の兆しを感じさせることでしょう。


 紅い新芽の枝垂れ楓も日に日に葉が開き大きく広がり塀の外まで下がりはじめこの楓も今の季節の中では楽しみな景色です。沢山種類がある楓の中でも「手向け山」と呼ばれているようでこちらも素敵な名前でお気に入りの木となっています。小さな庭の四月の移ろいを楽しんでいる日々が続いています。