2012年11月11日日曜日

錦秋競演


 いよいよ晩秋の山行きです。すでに山の標高の高い所では赤く色ずいた木々は終わりかけていて今は黄色く紅葉した木々が全山を黄金色に染めています。

青く青く何処までも澄み切った空とくっきりとした山々の稜線が眩しく雪を頂いた南アルプスが遠くに眺められます。

 秋の最後の日と思い八ヶ岳の周辺をドライブしてみました。すでに風も冷たくて、気温も10度を下回ります。アトリエではストーブも一日中付けっぱなしにして部屋を温めなくてはなりません。
 あと半月ほどで今年の山のアトリエも戸閉めしなくてはなりませんから、半年間の整理もあって来春にまた気持ちよく来れるようにとせっせとあちこち片付けます。お天気が良かったのでこの夏に犬たちが使ったタオルや敷物を洗って干したり短い秋の日と競争で大忙しです。冷蔵庫の整理も恒例です。

 10月に友人とどっさりと収穫したハナイグチは冷凍庫に沢山入れて保存しましたから秋の山の味覚を楽しもうと取り出してキノコ汁を作りました。冬眠する熊の気分です。
 若い頃は冬の山の美しさに惹かれてお正月も来ていましたが、やはり雪に閉じ込められると一歩も外に行けないのと車が出しにくい事もあり最近では無理はせずやはり冬は暖かい所に行こうかと思うようになりました。
 ダンコウバイの大きな黄色い葉が音も立てずに散り行く様はベランダから眺めていると刻の過ぎ行くのが遅く考えられます。落葉松の葉が一面に重なり地表は落ち葉の布団を敷いた様です。歩けばかしゃかしゃと落ち葉を踏みしだく自分の足音だけが静寂な山に響きます。
 またこの冬も鹿が山から下りて庭先の木々の樹皮を食べに来るでしょうか、餌を求める動物の厳しさを思うときなぜか少しだけ胸が締め付けられるような思いになります。先月の終わりに散歩中に私の目の前を大変な早さで横切り、森に消えた鹿がいましたが、今頃はどこに行っているのでしょう。鹿たちは厳しい冬の間どのように身を守り暮らすのだろうかとあれこれと考えてしまいました。
 ぬくぬくと暖かい家の中で温かなキノコ汁等を楽しんでテレビでスケートを見て、のうのうとしている私はやはり人間だと当たり前な事を考えてしまうのです。
 山で暮らす動物たちの強さには及びもしませんが強靭な逞しさにはほんのちょっぴりあやかりたいとも思います。こうしている間にも山の秋は刻々と初冬に向かって行くのでした。