2011年6月13日月曜日

紫陽花に雨の日々


 梅雨真っ直中ですが、ここのところ雨は夜に激しく降り、日中は比較的止んでいることが多いので助かっています。今は紫陽花が美しい季節で、家々の庭や街角に雨に濡れて咲いていますが、どの紫陽花もひとつとして同じ色合いはありません。ブルー一色だったり、薄いピンクから濃いピンクにいたるまで様々で、植えられている土壌や場所により色合いも変わるそうなので、どの紫陽花を見ても綺麗だと感じます。私は萼紫陽花が好きです。中には真っ白なままの紫陽花もみられます。この季節は雨に濡れた紫陽花を楽しんで見ることにしています。

 紫陽花の葉も美しい緑で、その形はお菓子を乗せるのに丁度良いのです。私はよく、水羊羹を載せてお茶と一緒にお客様にお出しして、夏らしい等とひとり悦に入っていたのですが、昨年見た新聞に紫陽花の葉には毒があると読んでから驚いてしまい、それからは銘々皿に紫陽花の葉を乗せるのをやめることにしました。紫陽花の葉に乗せた水羊羹は絵になっていて、とても気に入っていました。我ながら良いアイデアと思っていたので残念です。

 今月は今昔月間です。色々な相談事に対応しています。併せて、あらたでは夏の着物や帯を展示しているので、お客様がお見えになります。
 相変わらず原発の問題は解決が難しく、色々なことに影を落とし人々の心を暗くさせますが、地震後の復興は、少しずつでも時に希望あるニュースが流れてきます。地震の後はしばらく着物を着て出掛ける気分にはとてもならなかった、と工房に見える方々はおっしゃっていましたが、最近になってやっと着物姿で出掛ける気持ちになったと言うことも同時に話されていました。この会期中にも何人かの方が着物でいらして下さって、私もほっとした気持ちになりました。
 相変わらず小さな余震も感じますが、何とか前向きに暮らして行ければと思います。何にも起きない平凡な日々こそがありがたいことだと、そして大事な日々なのだと気づかせてくれるこの頃です。落ち込んでいた気分から、今は良い意味で開きなおって、今日一日が大事、一生懸命過ごさなければと思います。明日は明日のことと割り切って、くよくよむやみに予想できないことに思い悩まないことにしよう、と心に決めています。

 庭の片隅の夏萩が今は盛りで、雨に濡れながらローズ色の花をこぼれるように咲かせています。この花が咲くと東京のお盆ももうすぐだと懐かしい人々を思い起こさせます。