2011年6月6日月曜日

梅雨の晴れ間に一息


 梅雨に入って4日に木曽の漆器祭りに早朝より出掛けました。毎年欠かさず行くようになって何年が過ぎたことでしょう。いつも雨に降られることもなく、梅雨の間を縫うようにお天気に恵まれます。塩尻のインターを下りて一路木曽方面に向かいます。両側には木曽の山々が迫り、その下を木曽川が早い流れを見せています。川からの風は涼しくて、澄んだ川の流れは爽やかに周りの緑濃い山々の色を映していました。私たちは漆街道と呼ばれる道を平沢に向かい走ります。平沢の隣は有名な奈良井宿で、ここにもたびたび訪れますが、旧中山道の宿場町として昔は千軒もの家々が軒を連ねていたそうです。そんな山間の村村で木曽の漆器が生まれたのでしょう。豊富な木材に恵まれた中で漆工芸がさかんになり、地場産業になったことはうなずけます。
 木の持つぬくもりに漆をかけるという事は、いつの時代に定着したのでしょうか。もっともっと私も勉強しなくてはなりません。日本全土にある漆工芸の特色を見ながらの旅は、さぞ楽しいことでしょう。もう大分食器は手に入れて、使い切れないほどあるので、新しい品を求めるのはちょっと控えめにしなくてはなりません。その代わり、大きな作品である机や箪笥に最近は心惹かれます。いずれ家を改築したときには、古い物を捨てて新しい道具を欲しいと思いますが、今回は見て歩くだけの木曽行きでした。しかし充実した旅でした。
 清流と緑の山の重なる山間にあちこち見えるガマズミの木は、白い花を付けて山のなかで両手を広げるようにした白い姿が目立っています。そして、高い木に絡まった山藤がその間にかいま見えて、これが6月の山の景色なのだと思わせます。

 山のアトリエの周りは蒲公英がすっかり綿毛を付けていたり、十二単が紫色の花をつけて群生していたり、急にチゴユリが増えていたりしていました。そのなかで山のツツジが咲き始めて、レンゲツツジも薄オレンジの蕾を持ちまもなく咲きそうです。雉もまだ啼いています。しかし当分は仕事で忙しく、山に行けそうもありません。
 今日からは「今昔の会」と「夏のあらた会」の始まりです。震災の影響は、どれだけ人々の心に影響を与えたかはかり知れませんが、古い物を大事にするという今昔の会の趣旨が、何人かにでも伝わればよいと願っています。そして、夏を楽しむ着物の素材や柄に心を留めて下さる方が何人かでもいれば、日本の衣装への認識が保てるのにと願ってやみません。
 より良い六月へのスタートが切れますようにと、山のアトリエにあるイタヤ楓の若葉を手折り持ち帰りました。玄関に飾ることにして、爽やかな青い風を呼び込みたいと梅雨の晴れ間に思っています。