2012年1月9日月曜日

早春の兆し


 年が明けて比較的穏やかな天気が続いてはいますが、まだまだ厳しい寒さの2月を控えていますからじっとこの寒さを乗り切って行かなくてはなりません。
 日中の陽の当たる短い時間帯の間になるべく用事を片付けて出歩こうと思いますので急ぎ足で歩きます。今は花の咲かない季節なので、家々の塀にも玄関先にも綺麗な花は見られませんが冬を彩るピラカンサの木の実がびっしりと実をつけています。
これでもかこれでもかというように溢れるほどの朱色の実はたわわに木の幹さえ覆うようにみえます。
 あまり餌がない頃なのか何羽もの鳩が群がって赤い実を啄んでいます。
私の足音に驚きバタバタと飛び立つと地面には啄んだピラカンサの実が沢山に散っています。
どんな味なのだろう、甘くて美味しいのかしら、きっとご馳走なのだろうと思えます。赤い実は遠くからでもよく目立つので鳩も群がっているのでしょうし、ピラカンサもその存在を思い切り鳥たちに知らせているようです。
街中でも住宅街でも冬に唯一目立つ木です。花の代わりにこの季節に彩りを添えています。

 ふっと沈丁花の垣根に目をやるとまだ小さいですがすでに固い臙脂色の蕾が見えたので少し嬉しくなりました。
沈丁花は2月の花というイメージが私にはあるので、もう春がやって来るのだなという予感が急にして来ました。
すこしづつ春がやって来るにつれて固い蕾が大きくなり、やがて2月の暖かな日にすこしづつ開き始めて2月の終わり頃にはかすかに香りが立ち春の到来を告げる花です。
低木で地味な花ではありますが春の使いとして最も早く咲く沈丁花は大好きな花です。
今朝は沈丁花の蕾を発見したことで寒さも気にならなくなり浮き浮きした気分にもなったのです。
 何年か前に木戸の側に植えられていた沈丁花がある年に枯れてしまってがっかりしましたが、植木屋さんに聞くと沈丁花には寿命があると言うことでした。
 平成11年に亡くなった母の通夜に丁度2月半ばでしたが、夜の闇の中で香りが立ち、その香りが悲しくてたまらなかったことを思い出します。ですから悲しさと春を告げる香りがない交ぜになって今でも複雑な気持ちになるのです。その後何年か経って木は枯れたのです。
現在は改築中なので出来上がったらまた沈丁花の木をどこかに植栽しようと考えます。
春の兆しを教えてくれるこの木はまた、希望に満ちた春の先達であり、私にとりましても力漲る春への道先案内の木でもあるのですから。