2011年11月21日月曜日

メリーゴーランド


 すでに紅葉も終わり裸木の目立つ山の景色は初冬に入った感があり、黄色かった山々も茶色味を帯びて常緑の木々だけが緑色でこれから迎える冬の雪をじっと待っている様子です。
11月の山にしては暖かい高原の駅、清里の周辺を訪れる機会がありました。
 かつて一世を風靡したアンノン族が闊歩して原宿の竹下通りのように賑わっていた清里は今は見る影もなく寂れて俗悪な店の看板もそのまま朽ちています。まるでゴーストタウンのようで、一時はタレントの名を冠したお店も多くありましたが今はそれもなくなり人影も見えません。
 今の若い方にアンアンとかノンノンとかの雑誌があって毎号のようにこの地を盛り上げていた時代があったのよと言ってもピンとは来ないでしょう。もうかなり昔になって知る人もあまりいないし、あの頃の読者たちはすでに60歳代から70歳ぐらいでしょう。
 当時はペンションとテニスも大流行でテニスコート付きのぺンションに脱サラした方たちが夢溢れるペンションを作り若者や若いファミリーを呼び込んで大賑わいだった時代でした。

 その後、海外旅行に安く行けるようになったり、テニスブームも去ると急速に憧れのペンションも衰退して人々の好みも価値観も多様化となり今はペンションもオーナーたちの高齢化で次々と閉めて、後をする人もいないようです。いくつもあったこのあたりのペンションも経営をやめてひっそりと戸締めです。
 高原のリゾート地、清里の様変わりは昔に比べれば寂しい限りですから私もなるべく隣の駅の清里には立ち寄らないようにしていました。
でも駅から少し離れた一角では新しい観光地としての試みもあり、大人が耐えられるお店や施設が最近出来て来ました。その中で少し林の中に入って行くと、こんなところに何故というようにメリーゴーランドが設置されています。かなり前からだそうですが私は全く知りませんでした。

メリーゴーランドは音楽につれて装飾された馬が何頭も上がったり下がったりして、ぐるぐるとまわるのですが、その乗り心地は何だか嬉しくて綺麗に装飾された作り物の馬も楽しくて私は大好きです。夢の世界に遊ぶ気分です。
 昔、回転木馬というミュージカル映画があり、その映画がとても好きで、美しい歌や星を磨く主人公ビリーやその妻を演じた女優さんに憧れたのは私が10代前半ぐらいだったでしょうか。また観てみたいなと思っています。

 そんな憧れの回転木馬の馬がどういうわけか林の中にひとつだけ置いてあるのを見つけました。華やかに音楽と共にぐるぐるとまわっていた木馬に木立の中から初冬の風が吹き付けます。かつて賑やかだった清里と今の清里を重ね合わせると、もの悲しくも甘いセンチな風情を感じさせます。時代は流れて行くのだと想う光景でした。まだ山では今年は雪に遭っていません。まもなくクリスマス、心躍る美しい灯が楽しさと切なさをかきたててくれることでしょう。