2011年10月12日水曜日

始めに蔦が


 先週からの連休では八ヶ岳から蓼科までドライブの機会があり、晴天が続く中を山々の紅葉の様子をじっくりと観察することが出来ました。
 今月と来月にまたがり徐々に楽しめそうですが山々は陽の当たり方によっても違います。
良く日が当たるところは少し黄味を帯びて来ていますがその中にあってすでに赤く色付いた木々も所々アクセントのように見られます。

大きな松やダケカンバの太い幹に蔦が這い上がるように絡まって昇っています。その蔦はすでに真っ赤に紅葉していてどこまでも高く這い上がる蔦は山の中でも目立ちます。思い切り陽を浴びるせいなのか、最も早く色付いています。
 どうやら蔦の紅葉が始まると一気に紅葉が進む樣です。そのうち黄色から赤への段だら模様に山は覆われて落葉松の林が真っ黄色になり金の雨を降らし終わると初冬への景色になって行くことでしょう。

 蓼科の山の中に静かに建っているホールで9日には秋のコンサートに行きました。
木造のホールは大きなガラス窓に唐松林の借景が広がり、ホール内からも秋らしい日差しも感じられます。
古典からミュージカルの曲まで数々の歌が歌われて楽しい音楽会の午後となりました。
夜には場所をゴルフ場に移してパーティとなり参加者全員和気あいあいと話も弾んで、夜はチロル風の素敵なホテルに宿を取り秋の夜長を過ごしました。主催者の陰のご苦労に頭が下がります。

 早朝には露天に浸かり山の景色を眺めて、昼には蓼科で親しい友人たちと昼食を取り、まだ陽のある内に八ヶ岳の山荘に戻ったのでした。
ドライブの往復の道中、広域農道の左右には蕎麦の畑がどこまでも広がりパノラマのように南アルプスや八ヶ岳連峰が見えます。蕎麦畑のなかに時々赤い花が見えるのはあれは赤蕎麦なのでしょうか。ほとんどが白い花畑なので目立ちます。

 八ヶ岳アトリエでの朝夕は肌寒いのでストーブが必要です。うかうかしているとあっという間に暗くなるので夕方の犬の散歩は早めなくてはなりません。
その分夜が長く思えるので本当は読書をしたり音楽を聴いたりしたいのですが友人たちのおしゃべりに花が咲きすぎてなかなか静かには過ごせないのが現状ですが、それもまた楽しくて、少々はしゃぎ過ぎて疲れて私はすぐに寝入ってしまいます。

 八ヶ岳アトリエの庭から見える落葉松の林の中には見上げるような高さに蔦が落葉松の幹に絡まっているのが何本か見えてその綺麗さに思わず見とれてしまいます。朝陽を浴びても夕日に照らされても美しくて蔦の赤さが映える着物を創りたいと思うのです。
赤い蔦に映える地の色はどんな色が良いのかとキッチンから眺めつつ料理をしながらも考えます。
 赤に映える黒地、高い秋の空の色、いや、しっとりと古代茶の地色かと想いを巡らします。若い方より人生経験を積んだ年齢の方々にあの赤い蔦をどのように深く表せるかと重厚なる秋の赤を考えてしまいます。
蔦は楓やもみじほど葉が薄くないので、どっしりと重厚で艶のある紅葉となるところが魅力に思えます。
毎年、秋の始めの悩ましい紅葉は私に取っては蔦なのです。そして好きな秋のモチーフでもあるのです。日ごとに深まり行く秋、お月様が煌々とススキの原を照らしておりました。