2013年6月20日木曜日

今昔の会に想う



 あらた工房では今、夏の着物新作展「夏のあらた会」+古い着物の相談会「今昔の会」を開催していますが、残すところ3日ほどとなりました。
  毎年6月恒例の「今昔の会」は、多くの職人さんたちの力を借りて古い着物の再生を手がけています。
 昨日はどさっとお客様から昔の着物が届きました。ご自身のお母様のお若い時の着物ばかりです。さて、これらをどのように現在のお客様の着物に再生するか、これから相談が始まります。


 どの着物にも思い出が詰まっています。縁のある方がまた引き継いで行くことが最も望ましいことと私は思っています。
 やむなく他人の手に渡ることもあるでしょうが、着物1枚1枚の事を思えば処分されたりされるよりは、ゆかりのない方に渡っても役に立てれば着物自身は嬉しいかも知れません。古い着物が捨てられることのないようにといつも考えています。

 今から手をかけて昔の着物を再生すれば、冬にはまた新しい着物になっていくつかはお客様の手元に戻る事でしょう。私自身も楽しみなことです。

 私にとってもこの6月の「今昔の会」は、着物について色々と考えさせられる特別な月です。そして次の作品への意欲をも養える大事な季節です。
 梅雨空で外出も少なくじっくりと昔の着物と向き合える気がします。これは私の思い込みかも知れませんが1枚ずつ着物をながめていると着物が私に色々と語りかけてくる気がしてくるのです。

 「今昔の会」の仕事は地味なのですが着物に恩返しと思っております。昔の着物と対話できるのは私だけの特権かなと自負しています。

 先日友人が届けてくれた紫陽花の切り花も毎日水切りをして保っていましたがついに終わってしまいましたので今度は黄色いハイビスカスの鉢を置いて見たら一気に夏らしい気分になりました。さぁ、もうひと頑張りしましょう。