2012年10月17日水曜日

10月の女神


 今年の10月は例年より2週間も遅れて金木犀が忘れたころに咲きました。ある日どこからともなく金木犀の香りが玄関を開けて表に出ようとした時に香って来て「あっ、咲き始めたのね」と突然に感じるのです。

何時も想うのはその瞬間に「10月の女神の到来だ」と思わせます。下ばかり向いていると金木犀の小さな花は目に入らないので、香って来てから思わず頭上を見上げて咲いていることを確認するのが常です。
 地味で小さな花ですが蜜柑色した花は茂る葉の間から沢山見えています。

 私流に考えれば10月の女神がやって来るとき金色の杖のような物の先を振りながら金木犀の香りを放ち、秋の風に乗って来る姿をイメージしてしまうのです。それはまるで名画の一コマのようであり美しい秋の女神を勝手に想像してしまうのは少し乙女チックな感じですが子供の時からずっと思っているイメージなので、今さらそのイメージを消し去る事は出来ません。

 毎年金木犀の香りがすると、慌てて夏の衣服や着物を片付け始めます。私に取っては季節の変わり目を知らせ、秋から初秋にかけての扉が開かれたことを実感するという花であります。
 裏の家の銀モクセイは北向きなので今年も一足遅れて咲くことでしょう。穏やかな秋の陽差しが満ちて10月を最も幸せに想う日々です。