2012年7月12日木曜日

三津五郎さんを囲む会


爽やかそうな日が続くともう梅雨が明けるのかしらと思ったりもしますが、また南から大雨のニュースが入り今までに記録したこともない雨量だと報じているのを聞いたり,今にも氾濫しそうな川が映されているとなんて恐ろしいことだと身震いしてしまいます。
そんな中、パンダの赤ちゃんが亡くなったというニュースや小沢さんが新党を立ち上げたとか何とも忙しいニュースが続いています。

私は先日10日には三津五郎さんの芸歴50年を祝う会に行って参りました。幸い雨にも降られず着物が着られて会場では久しぶりにお会いした方を交えて楽しく歓談出来ました。さすがに着物姿が多くて夏の着物が沢山見られました。
 私もこの日はなかなか袖を通すチャンスがなく長いこと出番を待っていた絽の訪問着を着用しました。この着物は私が製作したのではなく、かなり昔に作られた着物を訳あって私が自分の寸法に仕立て直した物です。大変に珍しい柄で私自身が他の制作者の作品を着る事も滅多にないのですが、どうしても面白い絵柄だったので着てみる気になったのでした。

 帆掛け船が裾にあり、海の景色ですが上部は紫色の地に黒い線でまるで通り雨のように描かれています。その組み合わせ方が面白くやや粋な感じもして気になる絵柄だったのと、どんな意図で制作されたかに興味もあり、こんな大昔に作られた着物を自分が着ることでしかも役者さんの晴れの日に合わせて着たら着物が喜ぶだろうと思い切って着て見ることにしました。

私には仕事柄でしょうか、不思議ないわれのある着物が手元に集まることがあるのです。持ち主はとっくにあちらに行かれた方ですが、着物には想いが残ります。そんな私に託された着物が何点かあって自分用に仕立て直して、しつけがかかったままです。
そのような着物を観劇やお芝居に連れて行くつもりでこれから先も機会があれば着て行こうと思っています。そうすれば着物も楽しんでくれるのではと考えるのです。
お盆のせいでしょうか,着物の供養とかつての持ち主の方への供養と考えたりもするのが私がそんなことを考えても良い年齢に達してきたせいでしょうか。それともうひとつ会った事もない昔の制作者にはどんな想いで着物を染めたのであろうかと敬意を持つからです。
何時の時代にも着物の創り手と着手がいてこそ成り立っていると言うことを忘れないようにしていたいからでもあります。 着物の持つ普遍性を感じていたいし、信じていたい自分がいるからでもあります。
夏の夜の「三津五郎さんを囲む会」は賑やかで盛会でした。三津五郎さんは入院をしたことが一度もないとおっしゃっていましたが、これからも素晴らしい伝統の世界で活躍を続けて行けることを期待しています。