2012年2月19日日曜日

工房リニューアルに向けて



 2月も残り1週間となりました。閏年なので例年よりほんの少しだけお得な気がする2月ではありますし、29日がバースデーという私にとりましても4年に1度の日を迎える今年ですから何か特別な年にも思えます。
 そして間もなく、春に向けての工房のリニューアルオープンも迫っていて、引っ越し作業やら古い物の片付けに追われる日々が続いています。
昭和38年から父亡きあとに引き継いだ様々な道具も含め、その後の資料は多くてこの有様を他人が見たならなんて古くて汚い物がいっぱいあるのかと、こんな物をまだ取り置く必要があるかと思うかも知れませんが、私に取ってはそれぞれが大事なものばかりです。
 それでも思い切って捨てたものも多く、この際だからと目をつぶり処分した物もありましたが、あれほど捨てたのにまだこんなに多くの捨てられない資料があるのかと、積み上げられた箱を眺める日々でもあります。

 これから先どのくらい創作活動ができるかわかりませんが、私はこの度のリニューアルに向けて環境も変え、心機一転と身を引き締める思いがさざ波のようにひたひたと、体を満たして水が染みいるように日ごとにわずかづつ創作への思いが深まる気がいたしております。

 昨年の震災は私には直接的な被害は及ぼさなかったのですが、少なからず考えさせられる事の多い出来事でした。自分の生き方やそれぞれの人の価値観や、普遍的なもの、守らなくてはいけないこと、次世代に伝えなくてはならないことなど、それはそれは多く考えさせられたのです。
 まず住まいの環境を堅固にし、自分の健康を真剣に思い、これらの上にしっかりした考えを持って立ち向かわなければ良い仕事も出来ないのだということを毎日のように思った半年でありました。
 古い本や写真を整理しつつも原点に戻り、全てを見直ししなくてはならない良い機会だったと思わねばなりません。
これから春がやって来るように、出来る事ならこの私の体にも春に向かい木の芽が吹くほどの熱い血潮を漲らせたいと願うばかりです。
4年に1度しか歳を取らないのですから、せめて精神年齢だけでも若くありたいと考えています。

 そして今年の秋は、この仕事を遺して早世した父の50回忌にも当たるので私の節目にもなります。それまでに新生あらた工房が、順調に滑り出している日々であるように頑張らなくてはなりません。
 今年の寒さで桜も2週間ほど遅れていると聞いています。何だか私の歩調に合わせてくれているようです。すっかり茂って手入れを怠っていた椎の老木たちはうっそうとして隣の桜の木への日当たりを妨げてしまっていますので、そろそろ植木屋さんに声をかけなくてはならないと考えています。あっという間に終わりそうな2月です。

 リニューアルされたキッチンでIHで初めての調理の日々でもあります。私には革命的な台所です。慣れた作業だった調理の手順も、すっかり様子が変わりました。いくつになっても覚えなくてはならないことがあります。新し物好きな私ですから早くIHに慣れてこれから好きな牡蠣フライに挑戦しようと張り切っています。とびきり美味しい新鮮で大きい牡蠣をどこに頼もうかなと思っている自分に少々うれしさすら覚えています。食欲は創作欲と通じる物があります。