2011年9月19日月曜日

九月の匂い


 雨が時折降ったり、風が吹いたり不安定な天気が続き、台風も次々と発生しているせいか、天気が定まらない中、今日までの連休を八ヶ岳で過ごしていました。気の置けない親友が同行してくれて、他愛のないおしゃべりや学生時代のエピソード、そしてもう二人にとってとっくの昔にあちらの世界に旅立った両親たちの思い出や,いかに幸せな少女時代を送ってきたか等々,話は尽きませんでした。
 少女時代からの親友ははお互いの家庭のことも知っているので懐かしく夜の更けるまで話し込んでいました。良い休日になりました。

 朝夕には雨が止むのを待って1時間ずつの散歩に山の中を犬たちと出掛けます。
霧雨の煙る中や突然晴れて天気雨のようになる空の下をトコトコと滑らないように歩きます。木々から垂れる滴はパラパラと音を立てて,私の顔に降りかかります。ぱっと日が差すと草むらは急に草いきれの匂いが満ちて湿り気のある草木からは匂いを放ちます。
これから実の付く前の花の匂いも立ち、香りが満ちて来ます。少し蒸されたような草木の生気があたり一面に漂います。
瞬間、あ、これが9月の山の匂いだなと感じます。本格的な秋の乾いた空気とは違い、湿った匂いのする9月の匂いだと感じるのです。
野菊、トラノオ、アキノキリンソウ、ツリブネソウがススキの間に交じり彩りを添えています。

そんな降ったり晴れたりする天気の中を、ひたすら一人と二匹は気の向くままに歩き続けます。
この間見つけた森の珈琲屋さんで一休みしてみました。美味しい珈琲を時間を掛けて煎れてくれます。
デッキのところで犬を休ませて飲む珈琲は香り高く,目の前の林にまで香りが流れて行くようです。九月の風も感じるのはこのときだけと思わず目をつむり、風の音の中に9月の木々が放つ匂いの中に身を浸します。 

 紅葉が始まる前、夏が遠ざかっていった山々の景色はまだ青々としていますが、秋を迎える準備は着々と,密やかに始まっていると思わせます。9月は夏と秋の狭間に立っていて短期間ですが、貴重な月なのです。ノイバラに実がつき始めていましたがまだ赤く色づいてはいません。ペンションの垣根に沿って咲く秋の薔薇も9月の今が盛りでした。