2011年9月5日月曜日

オオコウモリに会いに


 降ったり止んだりの台風の影響が残る日曜日、朝、上野動物園が開くのを待ちかねてオオコウモリに会いに行きました。
もう2,3年前からコウモリが気になっていた矢先に今年、来年は国際コウモリ年と言うことで上野の動物園でコウモリの特別展があるのを知ってこれは是非見に行かなくてはといつものように勇んで出掛けたのです。

 何故コウモリといわれても自分にも分からないのです。もしかしたら怖い物見たさとか吸血鬼の映画に出てきてドラキュラ伯爵がコウモリに姿を変えるのを観たから、、、それから洞窟に潜んで沢山のコウモリがぶら下がっている映像を見ていたからかよく分からないのですが、ずっと昔から気になる動物ではありました。
ここ最近はハロウィンのグッズや西洋でコウモリのお祭りがある様子なども見て、ますます興味が湧いてきて、私の世界にもコウモリを題材とした作品が出来ないか、挑戦してみようと、とつおいつ考える日々がありました。どんな形どんな技法で表現したら面白いか等と昨年からは背景になる素材を見つけて、背景のみ染めても見ました。

さて肝心のコウモリの姿ですが、なかなか私の中で固まって来ません。怖さを避けるあまりに漫画チックになってもいけません。なかなか決まらないのは間近で見てないから後ろ姿か良いだろうか、前からかなどと迷うからなのです。
 今回出掛けた特別展は「コウモリ展ー吸血鬼なんかじゃないもん」というタイトルで面白かったのですが、展示室そのものは本やビデオがあったりするだけで本物がいないので一寸がっかりでしたが係のボランティアの方が一生懸命来場者に向かって「コウモリは「明治までは愛されていたのに西洋から伝説や悪魔の使いみたいに言われたので不気味なイメージが定着したんです」と何回も語りかけている姿にそういう私もその考えに毒されていたのだろうなと同意せざるを得ませんでした。

 本物は小獣館に行けば見られますよの言葉を聞いて早速見に行きました。建物の出口の近くにオオコウモリがいました。
私もこれほど近くに見たのははじめてで興味津々で間近でガラス越しにかなり長い間観察しました。
木の枝にぶら下がり絶えず羽を開いたり閉じたりして前向きになっていたのですが最も私のイメージが勝手に先行していたなと思ったのはその体でした。

私はコウモリは体がネズミのようで、それに羽がついていると勝手にイメージしていたのは大きな間違いでした。体は見たくないと思っていたのに正面から見ることになったのでよく分かりました。
体はふさふさと深い茶色と白っぽい毛に覆われていてネズミのようではありませんでむしろ可愛くさえ思えました。顔は小さく何かに似ているなと思ったら我が家の甲斐犬龍馬に似ていました。同じ黒い顔ですが、ずっとずっと顔を小さくして龍馬が牙と歯を出したような顔でした。けっして気持ち悪い体ではなくて顔はネズミには似ておらず小動物という感じでふさふさの体はむしろモルモットのようでもあり、その舌で絶えず自分の羽を手入れしていました。まさか我が家の犬にも少し似ていたなんて驚きでしたが離れる頃には親近感さえ覚えて,勝手にネズミに羽がなんて思っていた私の単純なイメージは見事に覆されました。

 係の方に「あんなに薄い皮膜の羽で破れないのですか」と聞くと「それが破れないんですよ、絶えずメンテナンスしているんですから」との答えです。薄い皮膜には血管のような筋も見えて手がその先に付いていて足は木の枝をがっちりと掴みぶら下がっています。赤ちゃんのコウモリはその背中で休んでいます。
 本当に面白い生態です。飽きずに見ている内に全く不気味だの不吉っぽいだののイメージは吹き飛びました。見に行って良かったです。
何か私の中でこだわっていたもやもやが飛んでしまって素直にコウモリを図柄にして、かつての日本の装束にあるような粋な雰囲気の形にと考えられそうな気がしてきました。 
 
これから取り組んで行こうと思います。そうです明治時代前に日本人が表していたコウモリの世界に戻ってみます。
私の子供時代には夕方になると東京でもコウモリが飛んでいたのを思い出しました。
 このように自分の眼で確かめること、真実を見ることの大切さを今回のコウモリ展でつくずく思ったのでした。迷ったら原点に立ち返るというのは自分の為にあるようです。

まだまだ気になる動物や鳥は一杯います。またこんなに良い教室が上野にあるから遊びに来ようと思いました。
この日は小さな子供たちでパンダ館は混雑していましたが全く目もくれずに帰宅しました。楽しい日曜日でした。