2011年3月15日火曜日

春はいつ来る


 三月になれば何となく心浮き浮きして来るのに、今年はいつもとは違う三月になってしまいました。
 自然の恐ろしさを嫌と言うほど繰り返し映像で見せられ、本当に現実に起こっている事だとは信じられない思いで惨状を見るのは辛い事でした。東北地方に住む知り合いの方たちの顔が目に浮かび、どうしているかと心配するばかりでした。

 残り、2日ほどで春の展示会が無事に終わりかけていて、さあ、展示会が終わったら本当の桜が咲く日々を楽しもう、と思っていた矢先の事でした。突然の地震の襲来、私もあんなに怖いと思った事はありません。
 今回の千年に一度の地震で、私たちが想像する限界をはるかに越えているわけですから、この地球は大きな生き物のようにも思えてきます。津波の襲って来る波頭はまるで、怪獣の鎌首が連なっているように見えたのです。あんなに恐ろしい光景を現実に見た人はどれほど恐ろしかった事でしょうか。想像を絶するというのはああいう光景を言うのでしょうか。不幸にも犠牲になられた方たちは気の毒で、残された家族には慰めの言葉すら見当たりません。私にも連絡したい友人がいるのですが電話が繋がりません。今でも怖くて電話を出来ないままでいます。

 あの地震からすでに四日ほど経った今ですが、日本人は凄いと思います。はや復興の気配を感じさせます。被災者が助け出され、彼らが前向きに話しているのを聞くと、こちらまで勇気づけられます。瓦礫で道も家もどこだかわからなくなっているのを救援隊が片付け始めていたり、被災者を助ける看護師さんたちの姿があります。日本はきっと立ち直るのだと信じます。

 世の中が落ち着き、早く普通の暮らしに戻ることを祈るばかりです。原発の底知れぬ不安も加わり、今まで経験したことのない恐ろしい出来事がまだまだあるかと思うと、自分の経験は長く生きている割には余り役に立たないものだと思い知らされます。
 まだまだ続く余震ですが皆で支え合って乗り切って行こうと、私も気をしっかり保つように心がけています。
 大きな地震のあった明くる朝、玄関に出るとどこからともなく良い香りです。植え込みに植わっていた小さな沈丁花のいくつかが、堅いつぼみを開き、白い花弁を見せていたのです。これも自然の姿なのです。人が手に及ばない自然界に私たちは生かされているのだとつくづく感じまた。早く心から春を謳歌したく、本当の春がやって来るのを待つ日々です。