2015年3月4日水曜日

桜を待ちわびる



 弥生、3月ともなれば、三寒四温も始まります。雛の祭りも終えて沢山の種類の花々も咲き始めて次から次へと花の題材には事欠かないのでうれしいのですが、数ある中でもなんと言っても桜が主役でしょうか、すでに河津桜は見頃で少し暖かい地方では満開と思いますがソメイヨシノはこれからです。

 毎年桜が咲くとその年ごとに桜を眺める自分の想いと景色は微妙に違ってきます。桜は同じでも想いは色々で心も揺れ動きます。今年の桜は誰と見ようかしら、何年か前にはあの人と眺めたなーと思い出は人に連れてそれぞれです。
 でも、桜が日本を縦断して行くのにつれてあちこちで桜を追いかければ存分に楽しむことが出来ます。だいたい、各地に赴けば5月いっぱいまでは色々な桜が楽しめます。

 桜のイメージもまた数多く浮かび着物や帯には描かれている情景は尽きないほどあります。私は時間に連れて見方が変わる桜の情景をとらえようと思い、同じ一日の中での夜明けから夜までの桜をそれぞれに描いたりします。
 そして開花から散りゆく姿までもまた時間の経過と共に桜木に想いを馳せたりもします。開花の前には桜の黒い幹がどくどくと大地からの水を吸っている気がして幹に耳を当てたりしてしまいます。
 咲き始めから散るまでを追い目で確かめて葉桜になるまで見つめてしまいます。桜は特別に日本人の心の中に根付いている木だと想います。誰もが桜への想いを個々に心の中に持っている気がします。
私も生きている限り毎年桜を見続けて行くだろうと考えます。根方に立つとかつて一緒に桜を愛でた人々の姿が思い出と共に浮かんできます。

「桜は見ていると悲しくなるの」と言った亡き母は何を思いだしていたのか、わかりませんがそんな母をベンチに座らせて一緒に夜桜を見た事がありました。
 
また桜吹雪の中、桜の下で遊び回る子犬の濡れた黒い鼻に舞い散る花びらがぴったりくっついて大笑いしたのもまた懐かしく思い出します。その母も愛犬も遠いところにすでに逝ってしまいましたが今年は誰とお花見行脚をしましょうか。つきあって同行して下さる花見友達がまだまだいるのはありがたいことです。