2013年2月19日火曜日

椿のトンネル


 2月も残り10日を切ったのですがまだまだ春の気配が薄く春は足踏みしているようです。 公園の山茶花は盛りも過ぎて散り始めてはいますが椿はどうでしょうか。
 新聞で大島の観光や椿祭りの記事を読んだら何十年か前に旅した大島を思い出しました。 あれは高校を卒業してすぐに親友と二人で出かけた小さな旅でした。
 10代の終わりかけの年齢とはいえ大人抜きでの旅は初めてのことで、今とは時代が違うので父親の許しをもらうのにおそるおそるでしたが、父が言うには船の旅は3等船室ではだめでちゃんと二人部屋を取るようにとの条件付きでした。 雑魚寝はいけないと言う事だったのでしょう。
 こうして友達との二人旅は始まり、これ以後は堰を切ったように旅に出るようになりました。 インターネットもない時代ですから全ては時刻表を頼りにスケジュールを立てて旅の楽しさを知ったのでした。あの時刻表を見て組み立てる旅のわくわく感は今でも覚えています。
 全部自分で宿も交通手段も決めるのですからネットでさっと簡単に調べるわけではなかったので苦労して立てた旅のスケジュールは、まだ見ぬ旅先への期待感が果てしなく広がったものです。 今でも時刻表を見るのは好きです。
 話が戻りますが大島への旅はまだ春浅いころでしたのに島は椿が多く咲いていて東京より暖かくて椿のトンネルや植物公園にでかけたり灯台に行ったり、海を眺めての楽しい時間でした。
 何よりも高校を卒業した開放感があり、これから進む道に希望があふれていました。 青春の思い出は椿を見る度に蘇ります。何の変哲もない紅い藪椿と厚い葉の深緑、花が終わると実る固い茶色の実は平凡ですが、私にとっては大人への道しるべとなる最初の木だったように思っています。私らしい木と勝手に思っています。
 我が家の塀の際にも椿が毎年咲きます。まだ蕾も見えていませんが古い木で、もう何回も場所を移し替えては移植して、移植させる度に椿は植え替えるとだめになるんだという植木屋さんの言葉に反して毎回植え替えた年は心配するのですが、花をつけなかった年はなくいつも元気です。ずっと私に寄り添ってくれる木なのだとこの椿には感謝しています。
 椿に寿命はあるのでしょうか、私より年は取っているはずなのです。 大島の広告を見ていたらまたあの椿のトンネルを見に行きたくなりました。 きっとまだあるのだと思います。黒潮、そして椿のトンネル、又トンネルをくぐってみたら若返るような気がしますが少し虫の良い話でしょうか、実現したら3度目の大島行きです。