2012年4月8日日曜日

花に浮かれて


 風が吹くと静かに散るぐらいの桜で、まだそれほど散るでもなく満開に近い状態で咲き誇る桜木はこの2、3日が最も見頃です。近所の方々がお花見をして賑やかに花に浮かれて楽しんでいる声が隣の公園から聞こえて来ました。

 工房のある二階の窓から見ていると必ず道行く人が公園の前で足を止めて桜を仰ぎ見ています。いつもは気にも留めないであろう公園もこの時ばかりは注目のまとになっているのが良く分かります。
 そして見上げる人は二言三言なにかしらつぶやいている様子です。綺麗だわと言っているのか、こんな所に桜の木があったんだと言っているのかわかりませんが何かしらつぶやいています。こんな様子を二階から見ているのは楽しいです。

 折から春の会の真っ最中で連日のお客様で賑わう工房です。かつて創った桜の帯や着物を身につけて訪れる方がいらっしゃると本当に嬉しいです。まるで里帰りしてして来た娘を迎えるような母親の気持ちになります。

 色々な表情を見せてくれる桜の様子を時に誇らしく描き、時にはかなく思ったり、または妖しい美しさに惹かれたりとその時々の自分の気持ちを投影させて、いくつもの桜の着物や帯を染めてきたものと思わずにいられませんが、まだまだ描きたい桜の景色は心の中にあります。これからも追い続けて行くつもりです。

 日曜日には毎年東京の桜を見に札幌から4月に上京する友人を交えてお花見の宴となりました。久しぶりの再会に喜び楽しいひとときを持てました。
皆が元気で桜を愛でる事が出来るのはなんて幸せなことだろうとつくづく思います。歳を経るごとにその思いはありがたいものと感じています。

ふっと垂れ桜もいいなと思い植えてみたいと家人に言うと大きくなったらどうするのと反対されました。なんて欲張りな私でしょう。大きな桜の木を工房の背景にしていながら、まだ桜が欲しいなんてと自分でも思いましたが今は枝垂れる木に凝っています。
 枝垂れる桃の花、枝垂れるモミジと並んでいるのにその隣に枝垂れ桜を植えるスペースはないかなと性懲りもなく探す自分がいます。
 うららかな春の満開の桜にいささかのお酒が入りきっと酔ったに違いありません。