2014年9月13日土曜日

昼夜帯は絶滅危惧種


本日、名古屋のCBC放送(TBS系)の情報番組「花咲かタイムズ」の中で、あらた工房の「昼夜帯」を紹介をして頂きました。


伏見にある圓珠さんの「昼夜そば」と一緒に紹介されました。有名なお蕎麦屋さんだそうで機会があればぜひ伺ってみたいです。


  ところで昼夜帯を知っていますか?

 昼夜帯とは元々明治から大正時代に存在した帯で2本の帯を貼り合わせた形です。
現在の市場ではほとんど流通しておりませんが、当工房では未だに制作をしております。(今回、紹介された作品は、手まり菊に水鳥能衣装図摺箔)

当時の昼夜帯は、片面が黒繻子という生地で、それに刺繍などをほどこしてあるものが多かったようです。表も裏もなくどちらも表にも裏にもなりえる、リバーシブルといった方がはわかりやすいのですが、和服の世界ではリバーシブルという言葉はなかったので、昼夜という響きが素敵なので使われたのでしょう。


  工房に現存する大正時代当時の昼夜帯もありますが、それは両面とも黒地です。
両面の柄が全く違う柄で片面が塩瀬、そしてもう片面が黒の繻子の生地となっています。

 昼夜というネーミングは随分と昔からある呼び方の様ですが、片面が黒いので夜に見立てたのかとも思います。それに対してもう一方は華やかに昼を表したのでしょうか。
 いずれにしてもおおよそゆきの帯と言うよりは、毎日の着物の暮らしの中で、すこし砕けた遊び感覚の帯であると感じます。

 昔からある昼夜帯のエッセンスと遊び感覚を現代に生かして見ようと、工房ではかなり前から色々な種類の昼夜帯に挑戦し続けております。あくまでも両面使える帯であることが特長なのです。

 ただし昔のように片面が黒繻子ではなく、両面共がそれぞれ主役でどちらを締めても表に成りうるということです。その為に様々な工夫が必要です。まず締め易いこと、帯が重くなりすぎないことが大事です。
 現在も昼夜帯を制作している工房も少ないので、興味があればぜひご覧下さい。