2016年6月17日金曜日
夏の会に寄せて
18日からいよいよ「夏のあらた会」が始まります。そして「今昔の会」も同時開催します。
今年は例年より遅くなりましたが、この不安定な梅雨の時季にもかかわらず夏の着物や小物に関しての問い合わせが続くので、お答えする内容も単衣から盛夏、晩夏にかけて微妙に変化するこれからの季節、どのように着物や帯と向かい合い楽しんで行けるか。
着物好きな方々にとってもオールシーズン中最も着る甲斐があるのが夏のシーズン到来です。
お洒落を堪能し、おのおののコーデを考える嬉しい悩みの季節でもあります。
ここへきて絹の持つ特徴やすばらしさを再認識したり夏らしい素材を見るチャンスにもつながります。
素材も数多くありますが,何よりも図柄の占める要素が大きいのが夏の着物や帯たちの魅力です。
毎年春が終わる頃には素材を集めることはもとより、いかに日本の夏を思わせる柄があるかと私は頭を巡らして考えます。
かつて昭和30年代前半でしたか高山植物ブームが有りました...
戦後、世の中が落ち着き、若い人々が登山やワンダーフォーゲルを多いに楽しみ青春を謳歌した時代です。
若者は山に憧れ登山やハイキング、スキーにも今よりももっと大勢が楽しみました。
街には歌声喫茶なども盛んな時代で、私も高校生ぐらいには歌声喫茶なる場所に連れて行かれた経験があります。山や自然の景色の歌が大いに歌われました。
登山に熱心だった人々が山でしかお目にかかれない草花を愛でるようになる頃には、高山植物の希少性と清々しい美しさが紹介されて,その頃先代は多くの花々の図案を作り主に帯に染め上げました。夏の山々はお花畑のようですし固有種の花が咲き誇ります。花の種類は数多くあります。
私も若い頃は高山植物の染め帯を数々染めましたが平成の今、復刻としてまた作ろうかと意欲に燃えています。
かつてのような登山ブームには、もうならないかもしれませんが私も今より若い頃に山の花に憧れて、がんばって登山し見た花はあまりにも高貴すぎて、まだ作品には取り上げていませんが追々イメージを凝縮させて、いつか帯にその姿を映したいと願っています。
先代の描いた図案は紙が古くなり、長い年月の内に茶色くなっていますが半世紀も経っているので無理もありません。
私に取ってだけ価値があるのかもしれませんが再度、かつての登山ブームで山男たちがみた花をまた描きたく思います。
最近では山ガールと言うそうですが、、、この夏も山の花にまた会いに行きたいと思います。